JAKIGAN MEISTER (咲人)
2017.06.24

2016年11月23日に活動を休止したナイトメア。ギタリストの咲人が、ついに新しい動きを提示。それがJAKIGAN MEISTER(ジャキガンマイスター)と題したソロプロジェクトの始動だった。
現在、1stアルバム『Ejaculation』を発売中。7月下旬からは、Ni~ya(ナイトメア=Ba)/Tooru Yoshida(Key)/HIRO(Rice=Dr)を仲間に、全国ツアー「JAKIGAN MEISTER TOUR [Ejaculation: Sequence]」もスタートする。咲人が、どんな想いを胸にこのプロジェクトをスタートさせたのか、本人の言葉をここに届けよう。

ご飯を一緒に食べてるとき「僕のソロ作品でギターを弾いて欲しいんだよね」とASAGIさんに誘われたことがきっかけでした。

──咲人さんは、ASAGIさんのソロ作品 Major1st Single 「Seventh Sense/屍の王者/アンプサイ」に収録した『アンプサイ』にギター演奏で参加。さらに、2016年4月25日にEX THEATER ROPPONGIで行ったD主催によるイベント「Mad Tea Party」で、ASAGIさんのソロライヴにサポートメンバーとしても参加していましたよね。
咲人:あのときはお世話になりました。Dさんとは昔から対バンでご一緒させていただいてた関係。ASAGIさんとはよくご飯を共にするんですが、一緒に会っているとき「僕のソロ作品でギターを弾いて欲しいんだよね」とASAGIさんに誘われたことがきっかけでした。その流れのまま、ライヴにも参加させてもらった形でしたね。
――咲人さんって、他のバンドやアーティストさんのサポート活動もしていますよね。
咲人:昔からちょいちょい声をかけていただいてはナイトメア以外での活動もしてきたように、自分的にはとても良い刺激になれば、どの人との活動も楽しんでやらせてもらっています。

「せっかく挑戦していける時期なのに、ここでチャレンジしないでどうするんだ」という意識のほうが明らかに勝っていました。

――このたび、咲人さんはJAKIGAN MEISTERと名付けたソロプロジェクトをスタートさせました。ソロとバンドでは向き合うスタンスも変わっていくものでしょうか?
咲人: あきらかに違います。何よりソロは、自分がすべての責任を背負わなきゃいけないようにまったく気が抜けない。ただし、責任が全部自分にのしかかるぶん好きにできる。そういう面でもいろいろ勉強にもなれば、本当に気が抜けない毎日を過ごしています。
――JAKIGAN MEISTERと名乗ったのは、これからもソロプロジェクトとして活動をしていくためですか!?。それとも、まずはソロとして踏み出すためにJAKIGAN MEISTERという名のもとスタートさせた形だったのでしょうか?
咲人:これまでズーッとバンドをメインに活動してきた中、一人のミュージシャンとして「ソロ作品を出したい」と考えたことは何度もありました。ただし、バンド活動を軸に据えていくうえで、ソロとして制作するだけの時間の余裕もなければ、ソロを演らなきゃいけない明確な理由もなかったから、そういう想像を浮かべる程度で実際に行動へ移すことはなかったんですけど。バンドが活動休止をしたときに「これからどうしようか!?」と考えを巡らせた中、「誰かヴォーカリストを立てて作品を作ろう」とか「新しくバンドを組もう」という選択肢も考えとしてはあったんですけど。少なくとも、自分自身や自分のファンが求めるのってそこではないだろうと。何より先に、「自分だけの要素を詰め込んだ作品を作りたい」欲求が強く沸き上がってきた。なので「ソロで作品を作りライヴをやる」という考えが、バンド活動休止後、一番最初にやりたいこととして出てきた形でした。名前について考えたのは、その後でしたね。
――みずから歌うという選択肢も、あるべきスタイルだったわけだ。
咲人:最初は抵抗も覚えましたけど、その選択肢でした。自分はずっとギタリストとして活動をしてきたように、歌は未知の領域。でも「未知だからこそ挑戦したい」自分の意欲と、「ギタリストだからこそギターを弾くべきだろう」という意志が、せめぎ合うように同居していたのも事実。でも、「せっかく挑戦していける時期なのに、ここでチャレンジしないでどうするんだ」という意識のほうが明らかに勝っていましたからね。
もちろん、歌うと決めたからにはしっかりとした歌を届けたい。そのためにボイストレーニングへ通ったり、自主練習を重ねながら、然るべき準備を行ったうえで具体的な制作へ入りました。もちろん、今でも歌のトレーニングは続けているところですが、いまだ慣れない部分は正直ありますね(笑)。
――アルバム『Ejaculation』を聞いてるぶんには、しっかり表情を持った歌を各曲へ投影していますよね。
咲人:もともと歌もの楽曲は好きで作ってきたし、自分の作った楽曲をどういう表情や感情を込めて歌って欲しいかのディレクションはやってきたこと。今回、自分で求めたい表現や感情を描き出す面では、歌のテクニックは置いといて、歌詞の理解度や歌として伝えたい感情面をよりダイレクトに表現しやすかったのも事実です。

ドリフのお約束じゃないけど、同じような曲調を持ち味にしていくスタイルも良いとは思うけど。俺は、毎回違う表情を見せたい。その性格が、12曲の楽曲へ素直に反映された形です。

――収録した楽曲の歌詞の随所に、バンドの活動休止以降、未来へ向かっていくうえでの自分のいろんな感情を投影していません?
咲人:自分の場合は先に楽曲を作り上げ、出来上がった曲を聞きながら、その都度感じた想いや沸き上がった言葉を歌詞へ連ねていくんですけど。少なからず、その時期に自分の感じていた気持ちは歌詞へ投影されていくとは思います。ただし、それは狙ってではなく、自然と沸き上がってという形です。
――楽曲の表情も、変に枠を作ることなく自由度高く表現していますよね。
咲人:そうしています。ただ、昔から自分の作る楽曲は「マニアックだ」とか「わかりづらい」と言われてきたんですけど。逆に言えば、それが持ち味だとも思っている。だけど今回に関しては、自分のファンが聞いて「いいね」と納得する楽曲ではなく、自分のことを知らない人が聞いてさえ「いい歌だね」とすんなり受け入れてもらえる歌を作りたいなと思って制作を進めてきました。もちろん、それが全部ではなく、マニアックさと同時に、そういう表情も求めてたということですけど…。
――『ヰタ・セクスアリス』や『嗜好品』のようなメロディアスな歌やスケール感あふれた楽曲など、本当に多様な表情をアルバムの中へ描き出していますよね。
咲人:もちろん、ドリフのお約束じゃないけど同じような曲調を持ち味にしていくスタイルも良いとは思いますが、俺は、毎回違う表情を見せたいと思ってしまう。その性格が、12曲の楽曲へ素直に反映された形です。
――中には、ギタリストと歌い手の魅力を巧みにミックス。アコギ1本で表現した『蘇婆訶-そわか-』のような表情も入れてます。
咲人:せっかくギタリストのソロ作品ですから、バンドサウンドや打ち込みを軸に据えた音楽性のみならず、ギター1本だけで楽曲すべてを表現するのも、ギタリストとしての一つのカラー。それを『蘇婆訶-そわか-』では表現しています。
――アルバム『Ejaculation』は、本当に自由度の高い作品ですよね。
咲人:バンドのときには、全体の醸しだすカラーとしてなかなか良しとされなかった曲調や、「これはちょっと違うよね」と選曲から外れた楽曲もあったように、そのときのフラストレーションがここで一気に吐き出されたのかも知れない。
――アルバムには、ソロ活動を決める前からストックしてあった曲たちも入っているのでしょうか?
咲人:バンド用に作りながらストック化されてた楽曲もありますけど、ほぼ今年に入ってからソロアルバム用に作り上げた楽曲ばかりです。
――中には、『なりたかったくなかった』のような、歌詞をすべてひらがなで記した楽曲も収録しています。
咲人:歌詞って、ひらがなで書くのかカタカナで書くのかでも印象が変わるんですよ。しかも、そこへどんな漢字を当てはめるかでも意味の解釈が変わっていく。こういう歌詞カードを読むからこそ想像を掻き立てる遊び心と言いますか、文字としての表現もしたかったことなんです。
――「ぼくは おとなになりきれなかった」と記したように、そこへは大人に成りきれない純粋な心模様も投影されていますよね。
咲人:子供心を忘れない…みたいな。でも、その意識は全編通して根底にはあることですからね。

格好つけてばっかだと疲れちゃうので、たまにふざけた楽曲も作るんですけど。それが収録されちゃった形です。

――完成したアルバム『Ejaculation』に対して、今、どんな手応えを覚えています?
咲人:自分が新たに踏み出す第一歩として及第点になったなとは思っています。なんとか理想通りというか、描いてたものに近い作品が出来たなという手応えは覚えています。
――アルバム制作に於いて、いろんな挑戦もあったのでしょうか?
咲人:ギタリストがヴォーカルを兼ねる場合、よくあるのが、もう一人ギタリストを入れて表現するスタイル。でもJAKIGAN MEISTERに関しては、すでに自分というギタリストがいるんだから他の人のギターは入れず、すべて自分で構築しようとは決めていたこと。同時に、ライヴを見据えた楽曲作りという面も悩んだことでした。
表現していく中、どんどんギターの音を重ねたくなる自分がいた。でもライヴを見据えてという理由から、ルーパーというエフェクターを使って重ねてゆくスタイルを取ったり。そういうギターのアレンジ面での挑戦はいろいろとありました。
――楽曲によっては、歌の背景で弾きまくってもいますよね。
咲人:制作初期の頃に作った楽曲は、自分で歌うことを考えることなく一人のギタリストの視点のみで制作していたように、弾きまくった曲が多いですね。でも、これから始まるライヴでは歌いながらギターを弾くわけですから、その辺をどう洗練された姿にアレンジしていくか…。そこも楽しみにしていてください。
――ライヴは歌い演奏してというスタイル。まずは演ってみて、そこで何をつかむかでしょうか?
咲人:そうですね。歌いながら弾く感覚は、いくらリハーサルを重ねたとしても実際に本番を通し経験してみないことにはわからない。そこに関しては試練の連続だと思うし、その経験を重ねながら自分でどう手応えをつかんでゆくのかも楽しもうと思ってる。
――アルバム『Ejaculation』には、冒頭と中間にインストナンバーも収録しています。中でも中盤に入れた『a Relic』は、LP盤で言うA面とB面のブリッジを担う楽曲なのでしょうか?
咲人:結果的に場面転換の位置づけにはなっていますが、ギタリストのアルバムである以上、やはりインストナンバーも入れたい気持ちを持っていたし、何曲かは絶対に入れようと決めていたこと。アルバムの中では、冒頭や真ん中の箸休め的なポジションとしてインストナンバーを入れてますが、どれもしっかり主張を持った一つの楽曲として作りあげています。
――今回、『ワールズエンド』のMVも制作。この楽曲をリードトラックに選んだ理由も教えてください。
咲人:一番は、「自分のことをまったく知らない人たちが聴いたとき、一番胸に響く歌はどれか!?」という理由。いくつか候補曲があった中、ある程度のキャッチーさを持ちながら、同時にアルバムの軸も成す楽曲をと考えたら、結果的に『ワールズエンド』に行き着いた形です。
――もう聞いてる人たちも多いからネタ明かしとして聞きますが、今回ボーナストラックとして、『Korokke Soba』という驚愕するほど遊び心炸裂した楽曲も収録していますよね。
咲人:格好つけてばっかだと疲れちゃうので、たまにふざけた楽曲も作るんですけど。それが収録されちゃった形です。自分の本意ではけっしてないです。
こういうコミックソングは、バンドでも自分のソロであろうと、本編に並べるには正直厳しいものがあるのは自分でもわかっている。それを聴かせるのは自分の本意ではなかったとはいえ、ボーナストラックという形だからこそ届けられたのかなとは思います。

その方向性の先が北を指しているのか南を指しているのか。始める前は不鮮明だったものが、このアルバムを作ったことで、ある程度の方角だけは見えてきたかな!?という感覚はあります。

――ところで、なぜJAKIGAN MEISTERという名前で活動を始めたのでしょうか?
咲人:そこはギリギリまで迷ったこと。正直、咲人のほうがわかりやすいと思うんですけど、あえて名前というフィルターをかけることで、自分がメイクや衣装を着て人格を変えていくように咲人とは別の役割を担える存在になれるなと思ったので、JAKIGAN MEISTERと名前を付けました。
字面に関しても漢字でも良かったんでしょうけど、アルファベットのほうが想像も解釈も広がるだろうからこそ、そうしました。
――7月28日より、Ni~ya(ナイトメア=Ba)/Tooru Yoshida(Key)/HIRO(Rice=Dr)を仲間に、全国ツアー「JAKIGAN MEISTER TOUR [Ejaculation: Sequence]」がスタートします。
咲人:このツアーには、アルバム『Ejaculation』の世界観を投影していきます。アルバムには打ち込みを多用した楽曲もあるように、その辺はいろんなアレンジも施していきます。ただ、演ってみないことにはわからないこともライヴに関しては多々あるように、現状では未知なる部分が多いのも事実。そこはライヴ本数を重ねながら、その純度をどんどん研ぎ澄ませていきますから。
――ライヴでは、アルバム収録曲以外の歌も聞けるのでしょうか?
咲人:どうですかね?。そこもまだわからないです。とにかく今は、今持っている曲たちを手に真っ直ぐにぶつかっていくのみ。今はそれしか考えていません。
――ライヴでどんな風にJAKIGAN MEISTERの姿が見えてゆくのか、そこも楽しみにしています。改めて、アルバム『Ejaculation』はどんな作品に仕上がったのか、ひと言お願いします。
咲人:ソロ活動って何をやってもいいんですけど。それでも、表現する以上はある程度方向性を見据えることも必要だと俺は思ってる。その方向性の先が北を指しているのか南を指しているのか。始める前は不鮮明だったものが、このアルバムを作ったことで、ある程度の方角だけは見えてきたかな!?という感覚はあります。
――その方向性は今、鮮明に見えているのでしょうか?
咲人:まだ朧げに見えている感じです。まずは今回のツアーを演ってみることが大事。それを終えたうえで、見えたものへ向かっていけば良いなと思ってる。


取材・文/長澤 智典


2017.06.14 Release
JAKIGAN MEISTER 1st ALBUM「Ejaculation」 Type:A 初回限定特殊パッケージ仕様
TRCL-0146/¥3,500(税別)
[CD]
1.Enter the JAKIGAN/2.Don't Suck It Up/3.ワールズエンド/4.ヰタ・セクスアリス/5.嗜好品/6.なりたかったくなかった/7.a Relic/8.Mercy Killing/9.名状し難いほど有り余る邪気/10.わるぁふぁ/11.Whatever I May Be/12.薩婆訶-そわか-
[DVD]
1.「ワールズエンド」Music Clip
JAKIGAN MEISTER 1st ALBUM「Ejaculation」 Type:B
TRCL-0147/¥3,200(税別)
[CD]
1.Enter the JAKIGAN/2.Don't Suck It Up/3.ワールズエンド/4.ヰタ・セクスアリス/5.嗜好品/6.なりたかったくなかった/7.a Relic/8.Mercy Killing/9.名状し難いほど有り余る邪気/10.わるぁふぁ/11.Whatever I May Be/12.薩婆訶-そわか-
※Type:Bの全曲終了後に、誤って「Korokke Soba」という曲が収録されております。
 アーティストのイメージを損なう恐れがありますので決して聴かれませんよう、お願い・お詫び申し上げます。

JAKIGAN MEISTER FIRST LIVE

2017.6.29(木) Zepp DiverCity Tokyo
開場18:00/開演19:00

【チケット】一般発売日: 2017.4.29(土)
前売:スタンディング¥6,000(税込)、2F指定席¥7,000(税込)ドリンク代別途
当日:スタンディング¥7,000(税込)、2F指定席¥8,000(税込)ドリンク代別途


JAKIGAN MEISTER TOUR
[Ejaculation: Sequence]


7.28(金) 札幌cube garden
7.30(日) 仙台darwin
8.6(日) 柏PALOOZA
8.9(水) 福岡DRUM-Be1
8.10(木) 広島セカンド・クラッチ
8.13(日) HEAVEN'S ROCK 宇都宮VJ-2
8.17(木) 大阪BIG CAT
8.18(金) 名古屋ElectricLadyLand
8.20(日) 高崎FLEEZ
8.29(火) 東京ReNY

【Support Member】
Ba.:Ni~ya(NIGHTMARE)/Key.:Tooru Yoshida/Dr. HIRO(Rice)

【チケット】一般発売日:2017.7.1(土)
前売:スタンディング¥6,000(税込) ドリンク代別途
当日:スタンディング¥7,000(税込) ドリンク代別途


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NIGHTMARE Official Site


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