2016.10.27 “Brother ship vol.2~関東サーキット編~”ファイナル公演@TSUTAYA O-WEST
2016.11.30

“Brother ship”は、東北出身同士のASAGI(D)と樹威(GOTCHAROCKA)が兄弟のように仲が良いことや、DとGOTCHAROCKAが“GOD CHILD RECORDS”所属の先輩・後輩バンドであるなど、いろんな要素が重なって生まれたツーマンシリーズ。今回の“Brother Ship vol.2~関東サーキット編~”は2014年4月に開催した第1回の続編で、このカップリングでの初ツアーとなる。全7ヵ所の締めくくりは、10/27のTSUTAYA O-WEST公演。これまで6ヵ所で培ってきた勢いや熱量はどんな形で昇華するのだろう──。

これまで、会場ごとに入れ替わってきた先攻・後攻。ファイナルで先攻を務めるのはGOTCHAROCKAだ。『Samurai dreeeeeam breaker』の衣装に身を包んで現われた樹威・JUN・十夜は、1曲目の『Gotcha6ka』から勢いあふれる曲を畳みかけるように繰り出していく。3曲目の『S or M』が終わったあとの初MCで、樹威は、「盛り上がってるか? “Brother Ship”もいよいよ今日でファイナルです。1本目からDのメンバーと同じ船に乗りいろいろと戦い抜いて来て、ご覧のように負傷してしまいました。あんまり目、見えてないんです」と告白。そう、この日の樹威は片目に包帯を巻いた姿で登場していたのだ。衣装の一部かと思いきや、まさか本当に目を負傷していたとは……。視力が落ちているとのことで心配だが、しょっぱなの3曲での疾走感とパワーはいつもに増して迫力満点だったので、樹威の底知れぬパワーを信じてついていこうと思う。中盤は『V_V GIRL』『曖昧愛中毒』『赤い駅』と、毒っ気のある選曲で攻め、続く『撃愛』で会場のボルテージを最高潮まで盛り上げる。JUNと十夜、二人のギタリストにそれぞれ絡みながら歌う樹威は、目の負傷の痛手を感じさせないような笑顔を見せた。場内がヒートアップするセットリストは一旦ここでおやすみ。「ここから、いろんな感情を込めて歌いたいと思います」という樹威の短いMCを挟み、しっとりと演奏されたのは『Lily 187』。樹威の言葉通り、この曲の演奏を通して気持ちが高ぶったのか、ステージに倒れこみながらギターを弾く十夜や後ろを向いて座り込んで歌う樹威の姿が印象的だった。この後、年末の新たなスケジュールの発表を挟んで突入した後半は、前半以上に勢いあふれるステージだ。『The Lyrical Jet Sky』の前には、“全員コブシー!! 声出せるかー!! 声出せー!! 全員でかかって来い!!”とJUNがオーディエンスを煽り、ドライブ感抜群の演奏へ!ぐんぐんと加速するスピードは『Hydrug』で爆発し、目を覆う包帯をめくったりステージに転がり込んだりと、樹威のアクションを激情的に駆り立てる。そして最後は『Samurai dreeeeeam breaker』でシメ! この曲を歌う前に投げかけられた、「各地で皆さんからたくさん元気をもらいました。楽屋ではDのメンバーから元気をもらいました。今日でこの衣装とはおさらばですが、武士(スタイル)を卒業しても俺らは刀を置くことはありません。これからもしっかりついて来てください」という樹威からのメッセージのように、彼らはこれからも、己の力で道を切り開いていくことをやめないだろう。そんな予感を感じさせる、勢いと迫力にあふれた1時間だった。

後攻を務めるDは、今ツアーのコラボTシャツと船乗り風の帽子を全員がお揃いで着用して登場。1曲目は『Rebellion』。会場に熱い空気を残したGOTCHAROCKAとはまた異なる熱を発しながら、ド頭から激しいノリで攻め上げる。ツーマンライヴは文字通り1対1の勝負、ガチンコの対決を繰り広げることができる絶好の機会。たとえ普段は仲が良いバンド同士だとしても、一旦ステージに上がれば自ずと激しい火花が散る。DとGOTCHAROCKAがそれを意識してセットリストを組んだかどうかは定かではないが、Dの圧倒的で重厚感溢れるステージングを目の当たりにすると、ツーマンツアーがもたらした相乗効果を感じずにはいられない。この後、『メテオ~夢寐の刻~』~メンバー紹介~『Grand Master』と続き、最初のMCでASAGIが“Brother ship”への想いを語る。「“Brother ship”へようこそ。ついにファイナル、思いっきり盛り上げていこう。GOTCHAROCKAとは、ただの馴れ合いじゃなく、和気藹々と、かつお互いに刺激を受けながら戦ってきました。そんな“Brother ship”にピッタリの曲です」──。そして演奏されたのは『Night-ship“D”』。Dの代名詞とも言えるこの曲、フロア中の観客たちが旗を振る光景はいつ見ても圧巻!さらに『弾丸』『花惑』とDのライヴでは定番の曲が続き、客席が沸きに沸いた中盤では、ニューアルバム『Wonderland Savior』の収録曲が立て続けに4曲披露された。アルバムは前日に発売されたばかりだが、ツーマンツアーですでに何度も演奏しているだけあってか、バンドとオーディエンスの一体感は抜群。振り付け指導を担当する教官(HIDE-ZOU)のおかげもあり、大勢でジャンプしたり体を折り曲げたりと、耳で聴くだけではなく、体全部を使って音楽を楽しむというライヴの醍醐味を感じさせるひとときが繰り広げられる。
そして、アルバムのコンセプトでもある“不思議の国のアリス”ワールドから、薔薇の世界へと誘う『黒薔薇の騎士』を挟み、ラストはアルバム表題曲の『Wonderland Savior~太陽と月の歯車~』をドロップ。サビでASAGIと観客が一緒に歌うパートがあるこの曲は、演奏するRuiza、HIDE-ZOU、Tsunehito、HIROKIからも笑顔がこぼれるナンバーだ。ステージとフロアの結束が最高潮に達した瞬間を最後の最後で目にし、今後Dは、『Wonderland Savior~太陽と月の歯車~』をはじめとする新たな楽曲を通し、ライヴで新たな伝説を作っていくのだろうと確信した──。

  2バンドのライヴが終わり、ここからはお待ちかねのセッションタイム!毎回、後攻を務めたバンドの曲を一緒に演奏してきたこのセッション、今日はDの曲を2バンドの全メンバー8人で楽しむはずが……。なんと!ASAGIの「今日はシークレットゲストがいます! 俺、樹威ときたら!?」という質問を受けて登場したのは、DIAURAのyo-ka。 秋田県出身のASAGIと仙台出身の樹威とともに、“東北三兄弟”の契りを交わしている福島県出身の彼は今日、「スケジュールが空いてたんで、(東北兄弟の)兄さん(ASAGI&樹威)たちの晴れ舞台を観たいと思って来た」のだそう。それが、ASAGI曰く、「(yo-kaがステージに出ることは)ホントに、突然決まったんですよ。それからそのままDの楽屋でメイクして(笑)」とのことで、せっかく来たんだから出ないテはないでしょうという流れになったようだ。そんな飛び入りゲストのyo-kaは、以前、“東北三兄弟(トリオ)”のスペシャルCDでカバーしたDの『花惑』を熱唱。続くもう1曲のセッションでは、樹威がカバーした『Guardian』。サビではASAGIとyo-kaが樹威のメインヴォーカルにハモリを入れたりと、東北三兄弟はさすがの呼吸を見せつけた。
最後に「“Brother ship”、最高でした!」とASAGIが笑顔で叫んで初のツーマンツアーは大成功のうちに終了。深い絆でつながっているからこそ、お互いの手の内を知っているからこそ、真っ向勝負をした時には互いが底知れぬパワーを出すことができる。このツーマンツアーで培った力を持って、DとGOTCHAROCKAは再び、それぞれの航路を進んでいく──。 “Mad Tea Party”カウントダウンワンマンフェスティバル in サンリオピューロランドで再び合流する大晦日に向け、互いの冬のワンマンツアーを力いっぱい乗り切って、さらにたくましくなって帰ってきてほしい。

Photography:TAKUYA ORITA  Report:MAKIKO SUDA


2016.10.27 SHIBUYA TSUTAYA O-WEST
“Brother ship vol.2~関東サーキット編~”ファイナル公演
-SET LIST-

「GOTCHAROCKA」
1. Gotcha6ka
2. Director’s cut
3. S or M
~MC~
4. V_V GIRL
5. 曖昧愛中毒
6. 赤い駅
7. 撃愛
~MC~
8. Lily187
9. Marry me,cause I hate U
~MC~
10. 恐想ロワイヤル
11. JapanesQ
12. The Lyrical Jet Sky
~GRコール~
13. Hydrag
~MC~
14. Samurai dreeeeam breaker
「D」
~SE~
1. Rebellion
2. Tightrope
3. Independent Queen
4. メテオ~夢寐の刻~
5. Grand Master
~MC~
6. Night-ship"D"
7. 弾丸
8. 花惑
~SE on MC~
9. Psychedelic Horror Show
~SE on MC~
10. フューシャピンクとフランボワーズの鍵盤
~MC~
11. Underground Revolution~反逆の旋律~
~MC~
12. シュレディンガーの夢遊猫とジャッカローブの杖
13. 黒薔薇の騎士
~MC~
14. Wonderland Savior~太陽と月の歯車~
~セッション~
花惑 (Vo:ASAGI、樹威、yo-ka)
Guardian (Vo:ASAGI、樹威、yo-ka)


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