2017.06.01 Soanプロジェクト1st Anniversary Oneman Live「ココロノコエ~Soan Birthday Special Live~」 @ 高田馬場AREA
2016.06.12


あれから1年の歳月が経過。ちょうど1年前も、Soan プロジェクトは高田馬場AREAの舞台に立っていた。あのときもSoan プロジェクトは、手鞠と芥、2人のヴォーカリストを軸に据えた2つのスタイルで、Soanの意識の中に渦巻く「静と動の衝動」を音楽を介し伝えてきた。
この1年間の歩みの中Soan プロジェクトは、Soanプロジェクトwith芥『慟哭を鼓動として道とする音』/Soanプロジェクトwith手鞠『静謐を制し征する音』と2枚のミニアルバムをリリース。東名阪を舞台にした全国ワンマンツアーも重ねてきた。その歩みの一つの集大成として。そして、未来へ続く道を示そうと、Soan プロジェクトは6月1日に高田馬場AREAを舞台に「Soanプロジェクト1st Anniversary Oneman Live「ココロノコエ~Soan Birthday Special Live~」を開催した。
この日はSoan自身の誕生日も祝いつつ、静と動を描いた2部構成で実施。静かなる心の衝動をSoanプロジェクト with 手鞠が/躍動的な物語をSoanプロジェクト with 芥が場内に描きだした。

 Soanプロジェクト with 手鞠

「あらがいようのない時間という概念の中にあっても変わることのない想い…あれから一年、再会の日を綴ったこの想いから始めよう。一年前のあの日と同じように」…手鞠の独白を受け継ぐ形で、ゆったり厳かにSoanの奏でるピアノと弦楽の調べが重なりだした。あの時を思い起こすように、『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』が始まりの音色を場内へ染み渡らせてゆく。一年という歳月は、その音楽に深い蒼を塗り重ねていた。Soanプロジェクト with 手鞠が奏でる演奏へ、大勢の人たちの心が迷いなく吸い寄せられていた。

「この場所で再会の喜びを分かち合ってから一年が経ちました。この一年間でみなさんと高めあったもの、深めあったものを。Soanさんのバースデーの日に、我々とみなさんとで繋ぎ合ってきた音楽を堪能していきたいと思います」

手鞠の言葉に続き、タイゾのスパニッシュなギターの音色が場内に響きだした。瞬時にこの舞台は、遥か遠くに広がる異国の地へと変貌。哀愁と情熱が戯れるように交錯する音の上で、手鞠が心の内側から沸き上がる慟哭を『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』へぶつけてきた。彼らは、心の嘆きを歌へ投影し物語を描いてゆく音楽の遊牧民たち。その音色に、気持ちはずっと縛られていた。

「新しい夢に向かい、期待や不安を持って歩む姿を僕は見ていたい」。『そして君は希望の光の中に消えた』が触れた人たちの心に手を差し伸べ、一緒に踊ろうよと誘いをかけてきた。その手を握った観客たちは、身体を揺らし、蕩ける調べの中へゆっくりと堕ちていった。それが、とても心地好い微睡みだと知っているかのように…。

「この曲は、このプロジェクトの一つの答えだと思います。このプロジェクトのメンバーが願うもの。それが、ここで共鳴します」

静かなる情熱とでも言おうか、沸き立つ感情をスパニッシュな音色に乗せ、彼らは響かせた。とても力の籠もった歌と演奏だ。今にも壊れそうな感情を、彼らは暗鬱な音のベールで覆いながら伝えてゆく。もともとはSoanプロジェクト with 芥として表現していた楽曲を、手鞠流の表現を加えたアコースティックなスタイルにアレンジ。『sign…-resonance-』が示した剥き出しな音と歌の暗示が、胸に痛みを持って突き刺さってきた。
Soanの奏でるピアノの音色に乗せ、手鞠が語りだす。「記憶とは、何時しか都合の良いものに変えてしまう。それはかならずしも罪なことではない。大切な人を守る本能的なものだから。でも僕は、君の記憶だけは変えたくないんだ…」と。
今にも零れ落ちそうな涙の滴を、鍵盤を叩く調べに変えながら。もの悲しい弦楽の音色も塗り重ね、手鞠は『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』を歌いだした。嘆くように歌う涙色の混じった手鞠の歌声が、切ない想いを呼び起こしていく。チクチクと刺す痛みを、この歌に触れている間だけは愛おしく抱きしめていたかった。夕暮れのような演奏は、心の内側から悲しみを引きずり出さずにいれなかった。


タイゾと祐弥のギターの音色が重なりだした。「何時か君の魂は誰かと出会う日が来るのだろうか。それに気付くこともなく、それそれの時間軸を歩んでいくのだろうか。もし、そうだとしても、君は幸せを歩んでいて欲しいんだ」。
手鞠の言葉を受けて流れた、Soanの奏でるピアノの音色と折り重なる2本のアコギとヴォイオリンの調べ。
みずからの身を滅ぼすように、触れた人への鎮魂歌として歌い奏でるよう、『それは呪いと同義語の魂の鎖永遠に続く祝福と云う名のカルマ』が場内へ切々と響きだした。死して、その愛を確かめることが正しいのか、その身を滅し、ふたたび産まれ出ることが幸せなのか。己の存在の意味を問うように、Soanプロジェクトwith 手鞠は生きる意味を問いかけてきた。その歌と演奏は、触れた人たちの心と身体を解けない運命の鎖でギュッと縛りつけていた。

意識を歪ませるように響く音たち。「価値観の相違とは相反する記号の反発。君もそうだろう、あなたもそうだろう、今、揺るがないこの意志でそのすべてを否定しよう」。祐弥のギターが力強く掻き鳴らされると同時に、手鞠が高らかに歌声を響かせた。情熱を携え、勇壮な音色を掲げ、彼らは『正否の相違、或いは利害の不一致』を奏でだした。激と凪二つの表情を魅力に、抑揚を持った歌声と音色を楽曲の中へ彼らは織りまぜてゆく。高鳴る鼓動へ導かれるように、Soanプロジェクト with 手鞠は秘めた情熱をモノクロな炎を放つ音景色の中へ投影していった。

演奏は、一気に華やかさを増してゆく。誰もが右手を振りながら、優しく光放つ歌と演奏をつかもうとしていた。『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』が届けたのは、互いに出会ったことで生まれた純粋な喜び。いろんなカルマを背負おうが、この出会いを大切に育みたい。だから互いの手を握りたい。華麗に舞うように、いや、感情の炎を激しく燃え盛らせ、触れ合うひとときの喜びをしっかりと抱きしめていたかった。

「絆が深まると音にも現れる。それを我々は実りに、互いの価値を確かめあいながら、畏敬を持って音楽を高め続けていきます」

これまでの心の揺れをすべて仕舞い込み眠りへつくよう、最後にSoanプロジェクト with 手鞠は『相対する質量の交錯する熱量』を演奏。光を塗した音色は、触れた人たちの心へ幸せの音色を積み重ねてゆく。観客たちは優しい想いの欠片たちを受け止めながら、彼らの姿へ祝福の拍手を胸の中で贈っていた。温かい音色と想いに抱きしめられ、うっとり酔い続けていたかった。


静かな高揚から、一変。続く物語は、内なる衝動を沸き上がる感情のままに投影したSoanプロジェクトwith 芥のステージへと受け継がれた。


 Soanプロジェクト with 芥

場内へ轟く勇壮な調べ。最初の一音が流れたその中へは凄まじい気が詰め込まれていた。それまでの静謐な空間へ情熱の炎が一気に沸き立つよう、Soanプロジェクト with 芥のライブは『不確かな箱庭』からスタート。荒ぶる音の波が次々と襲いかかってゆく。怒りにも似たその音に触発され、観客たちも拳を高く振りかざし、舞台上へ熱をぶつけだした。祈るように叫び声を突き付けてゆく芥。雄々しい芥の歌声は、今宵のライブが凄まじい破壊力を持ってせまってゆくことを知らしめていた。
身体を大きく揺さぶる熱狂のダンスロックが炸裂。躍動するビートに飛び乗り、思いきり跳ね続けていたい。暴れ狂わずにいれない。Soanプロジェクト with 芥流ダンスナンバー『薄紅は舞い散り寂光に消える』に刺激され、会場は暴れ狂う観客たちにより赤い熱狂の色に染め上がっていた。
Shunのギターに導かれ駆けだした演奏。観客たちを煽り続ける芥。火照った感情を、もっともっと高めたい。限界はまだまだ先にある。それを知っているからこそSoanプロジェクト with 芥は、『隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬』を通し、熱した観客たちの気持ちへ途切れることなく熱い炎を注ぎ続けていった。凄まじい音の圧だ。でも、圧倒的なパワーで迫り来る歌と演奏が、最高に刺激的だ。

会場を埋めつくす黄色い嬌声。その声を遮るように芥は語りだした。「その微笑みを、涙を失うのが怖かった。縛りつけられたいのは僕なのか、君なのか。さぁ、ずっと…」。
芥の叫びを合図に、演奏は『透過幕』へ。これまでの熱狂から一変、蒼い衝撃と言おうか、冷めた感覚を抱かせる楽曲だ。でも、その演奏は間違いなく熱を内包していた。ほとばしる演奏と興奮を抑えた芥の歌声が錯綜しながら、今にも破裂寸前な感情を抱えつつ物語は突き進んでゆく。

「旅人は立ち止まることが出来ず。傷つけることが自分を守るたった一つの手段だった。君に出会うまでは…」。
心地好く身体が浮遊していく。そんな不思議な、心地好い微睡みを誘う演奏だ。でも、楽曲が進むにつれ、その音色は速度と過激さを増し、触れた人たちの身体中から脈打つ興奮を導き出していった。演奏陣は、つねに熱を放ち続けてゆく。『パラドクス』でも荒れ狂う演奏を肌身に感じながら。それ以上に、楽曲の持つもの悲しいドラマを心で受け止めていたかった。慟哭した歌声を、もっともっと聞かせて欲しいと願っていた。
そのサインは、掻き鳴らす轟音の中で悲しい声を上げていた。熱を持って駆ける演奏に身体は揺れながらも、Soanプロジェクト with 芥が示した『sign…』をしっかりと受け止めていたかった。蒼い衝動とも言うべきその演奏は、刹那な色を心に刺しながらも、ずっとずっと荒ぶる声を上げ続けていた。


重厚で、壮麗な音がゆっくりと場内を浸食し始めた。静かな抑揚も、荒ぶる演奏が轟くと同時に狂乱の風景に塗り変わっていった。『undelete』が騒ぎたい感情を熱く沸き立ててゆく。朗々と歌いあげる芥、彼の声へデスボイスで熱狂の色を添えてゆくShun。もっともっと拳を。もっともっと熱した感情をぶつけてこいと言わんばかりに、Soanプロジェクト with 芥は観客たちをけしかけていた。重厚な熱狂のドラマをそこに描こうとしていった。

「打ち鳴らせ」「暴れるぞ」、煽るSoan。彼の煽りと重厚な音色に手拍子を返してゆく観客たち。演奏が炸裂すると同時に、楽曲は『朽ち木の行方』へ。凄まじい圧を持って迫る演奏。その迫力に刺激を受けた観客たちは、大きく手を振り、頭を振り乱し、Soanプロジェクト with 芥のけしかけた戦いへ熱を放ち挑んでいた。舞台上の演奏はその躍動を止めることなく、むしろ重厚な音の衝撃を次々と投げかけ、観客たちの感覚をどんどん狂わせ続けてゆく。
「踊ろうかー!!」、重く激しく弾けた演奏か飛び出した。『躁狂の踊り子』が流れた瞬間に、観客たちがタオルを振りまわし左右に走りだした。芥の招きに応じるよう、大きく手を振り続けてゆく。何時しか場内は踊り騒ぎ、潰れた声を上げる観客たちの姿で埋め尽くされていた。闇が支配する奈落の地で、我を忘れ歌い踊るメンバーと観客たち。その熱に包まれていることが、とても心地好い。
それまでの熱狂を空へ解き放つように、開放的な音色が会場中を包み込んでゆく。意識を心地好くトリップさせるダンスロックな『山紫水明の宴』へ身を委ね、頭を空っぽに飛び跳ね続けたい。熱をたっぷりと抱いた、触れた人たちを昇天させゆく光を携えた音色のなんて心地好いことか。求めれば求めるほど身体の躍動は大きくなっていく。
それは、続く『arrive』でも、そう。「飛べ飛べ」と煽る芥の声に導かれ、ずっと会場は揺れ続けていた。「さぁ、昂れ」の言葉通り、観客たちは彼らの放つ熱へ挑もうと、全力で頭を降り続けていた。
最後にSoanプロジェクト with 芥はヒステリカルでサイコティックな熱狂暴れ曲『hysteria show time』を叩きつけた。凄まじい熱と圧を舞台上から降り注いでゆくメンバーたち。フロアー中から突き上がる無数の拳。
猛り狂った熱狂を終わらせまいと、会場中の人たちが身体中から熱気を放ち、この宴を楽しんでいた。

今宵のSoanプロジェクト with 芥のライブは、終始、破壊的な衝動が貫かれていた。凄まじい気迫と気迫をぶつけあってこそ成立する宴を、Soanプロジェクト with 芥は求め続ければ、その求めに相応しい興奮の風景を場内に作りあげていった。


 アンコールの宴

「僕たちSoan プロジェクトが伝えたいものをここにすべて詰め込みます」。アンコールは、Soanプロジェクトwith 手鞠とSoanプロジェクト with 芥のメンバーが勢ぞろいし、美しいバラート『刹那を駆ける命の一行に』を奏で、これまでの熱狂を優しく空へ昇華していった。なんて麗しい楽曲だ。すべてのわだかまった気持ちを浄化するように、その歌は心に染み渡っていた。何より、また新しい明日を輝かせる光を,この場で受け止められたのが嬉しかった。
演奏後には、この日の主役であるSoanの誕生日をメンバーみんなで祝福する場面も。その仲むつまじい関係が素敵じゃない。

次にSoan プロジェクトが示す物語には、どんな景色と心揺さぶる触れ合いが待っているのか。その期待を抱きながら、『刹那を駆ける命の一行』がくれた余韻に、今は浸り続けようか…。

そして、これからのSoan プロジェクトは…。


この日Soan プロジェクトは、9月6日(水)にSoanプロジェクトwith芥として2nd Mini Album『調律、その脈動に問う』を発売することを発表。さらに、盟友のHitomiとともに、東名阪Tour『Hitomi VS Soan』を行うことも告げた。まだまだSoan プロジェクトの動きからは目が離せない。

TEXT : 長澤智典  PHOTO : 遠藤真樹  


2017.06.01 Soanプロジェクト1st Anniversary Oneman Live「ココロノコエ~Soan Birthday Special Live~」 @ 高田馬場AREA

Soanプロジェクトwith手鞠
-Member-
Produce, Music, Drums, Piano : Soan
Lyric, Vocal : 手鞠
Acoustic Guitar : タイゾ (from Kra)
Acoustic Guitar・Chorus : 祐弥
Violin : Sachi (from 黒色すみれ)

-Set List-
Lyric : 手鞠 Music : Soan

01. 『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』
02. 『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』
03. 『そして君は希望の光の中に消えた』
04. 『sign…-resonance-』
05. 『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』
06. 『それは呪いと同義語の魂の鎖 永遠に続く祝福と云う名のカルマ』
07. 『正否の相違、或いは利害の不一致』
08. 『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』
09. 『相対する質量の交錯する熱量 』
Soanプロジェクトwith芥
-Member-
Produce, Music, Drums : Soan
Lyric, Vocal : 芥 (from Chanty)
Guitar, Voice : K
Guitar, Voice : Shun
Bass : Ivy (from ラッコ)

-Set List-
Lyric:芥 Music:Soan
SE
01. 『不確かな箱庭』
02. 『薄紅は舞い散り寂光に消える』
03. 『隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬』
04. 『透過幕』
05. 『パラドクス』
06. 『sign…』
07. 『undelete』
08. 『朽ち木の行方』
09. 『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』
10. 『arrive』
11. 『meteo trive』
12. 『hysteria show time』


<ENCORE> (with芥・with手鞠)
01. 『刹那を駆ける命の一行に』

-Information-

-Live Schedule- -Release-

07.05(水) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
07.15(土) 池袋EDGE
08.22(火) 渋谷Rex(Oneman)
08.23(水) 渋谷Rex(Oneman)
09.25(月) 高田馬場AREA(2man)
09.26(火) 高田馬場AREA(2man)
09.30(土) 大阪RUIDO(2man)
10.01(日) 名古屋ell.FITS ALL(2man)
10.27(金) 渋谷TSUTAYA O-WEST

Soanプロジェクト 2nd Mini Album
『旋律、静かな願いと。調律、その脈動に問う。』Release決定


●Soanプロジェクトwith手鞠
2nd Mini Album『旋律、静かな願いと』
2017.08.09(水) Release 6曲入り
¥2,600 (tax in¥2,808) 品番:S.D.R-317

●Soanプロジェクトwith芥
2nd Mini Album『調律、その脈動に問う』
2017.09.06(水) Release 7曲入り
¥2,600 (tax in¥2,808) 品番:S.D.R-318

2017.06.02(金)~ 全国SHOPにて予約開始!!


Soanプロジェクト 1st Mini Album On Sale
『静謐を制し征する音、慟哭を鼓動として道とする音』


●Soanプロジェクトwith芥
1st Mini Album『慟哭を鼓動として道とする音』
2017.01.18(水) Release 5曲入り
¥2,500(tax in¥2,700) 品番:S.D.R-306
>>『慟哭を鼓動として道とする音』試聴動画

●Soanプロジェクトwith手鞠
1st Mini Album『静謐を制し征する音』
2017.02.01(水) Release 5曲入り
¥2,500(tax in¥2,700) 品番:S.D.R-307
>>『静謐を制し征する音』試聴動画
>>『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』試聴動画



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>>【Blog:Soan official Blog】
>>【SoundCloud:Soanプロジェクトオフィシャルアカウント】




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