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2016.12.24 Rice ありったけスーパーライブ2016~Never Ending Love story~ @ 原宿アストロホール |
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2017.02.06 |
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Rice恒例!1年の総決算ワンマン“ありったけスーパーライブ”。結成15周年イヤーをしめくくる2016年は、“~Never Ending Love
story~”というサブタイトルを掲げて行なわれた。全24曲、3時間にわたる本公演を通じ、YUKIとHIROが伝えたかったことは──。この日の出来事を、会場にいた人にも来ることができなかった人にも、大勢の人たちにあますところなくお届けすべくとても長いライヴレポートとなるが、ぜひ、最後までお読みいただきたい。 |
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2016年、結成15周年を迎えたriceは、Raphaelの解散を経て、バンド表記を“Rice”と改めた。両バンド共通の頭文字を大文字表記“R”に統一したのだ。メンバーの個人名も、櫻井有紀はYUKI、村田一弘はHIROへと、Raphael時代の綴りも兼用していくことにした。これまで意識的に壁を作っていたRaphaelとRiceは、2016年Raphael再演を経て、その壁を取り払うこととなったのだ。いや、取り払うというより、自然消滅したと言ったほうがしっくりくるかもしれない。今回の“ありったけスーパーライブ2016~Never
Ending Love story~”は、Raphaelの再演終了後、Riceにとって初のワンマンライヴとなる。“ありったけ”は、その年の総決算として開催されている恒例の年末ライヴだが、2016年編は例年以上に大きな意味を持つものとなった。結成15周年イヤー、そしてRaphaelとRiceが融合した、そんな1年を締めくくるライヴなのだから──。
Riceのメンバーは、ヴォーカル・YUKIとドラム・HIROの二人のみ。バンド形式でライヴをやる場合は、ギターやベースといったサポートメンバーが必須となる。この日のライヴには、これまでRiceを支えてきた歴代サポートメンバーが集結。ライヴ中盤のMCでYUKIが今日のバンド編成についての意図を「ワンマンライヴなんだけど、キャストチェンジを繰り返しながら、対バン形式でいろんなアレンジやモードで楽しんでもらおうと思ってます」と語ったが、こんな贅沢な試みができるのはRiceだからこそ。なぜそれが“Riceだからこそ”なのかは、この日のライヴを通して痛感させられることになるので、この段階での説明は避けておく。最初のフォーメーションは、ギター・大志&TEL-SEA、ベース・ふーみん(西山史晃)をサポートに迎えた5人編成。1曲目の『矛と盾』からの4曲は、Rice結成初期からライヴで演奏しているナンバーで、『Square』や『ラブレイン』の演奏が始まる時にYUKIは、「懐かしいのいくよ!」と超満員の観客にアピール。Raphaelの再演以降、Riceのライヴには、しばらくぶりに彼らのライヴに足を運ぶファンが増えているという。そんなファンたちに対して、15年の歴史を改めて紹介するかのような粋なセットリストに心にくさを感じてしまった。立て続けに4曲を終え、最初のMCでYUKIは今日のライヴについての想いを伝えてくれた。
「どの時代に出会ってくれた人も心から楽しめる瞬間が何回も出てくるような夢のようなセットリストを組んだので。きっと、“予習をいろいろしてきたのに、なかなか自分の本命曲が出てこない!”と思う時もあるかもしれません。だけど、そんな時は、“知らない曲だからつまらない”と思わず、周りを見てください。すごく喜んでる人がいるかもしれない。喜んでる人がいる時は、その人が楽しむ時間だと思ってチカラを抜いてくれていいから(笑)。長く長く応援してくれている人も、最近出会ってくれた人も、心から楽しんでもらえるように精一杯やるので、どうぞ、最後まで熱い熱いライヴが作れるようにチカラを貸してください」
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YUKIは続いて、次なるサポートメンバーを呼び込んだ。TEL-SEAに替わって登場したのは、現在のレギュラーギタリスト・Ommy。彼は、Raphaelの活動において、YUKIのギター指導やギターメンテナンスなど、ギター周りにおけるありとあらゆる協力者でもある。そんなOmmyを従えての5人編成で最初に演奏したのは『あすなろ』。全員でタオルを振り回すアクションのあるこの曲を始め、Ommy加入後のセクションには動きのある曲が揃う。前半に演奏した初期の4曲は比較的重たい印象があるが、ここで披露している3曲は激しくも軽快なイメージ。時代による楽曲の変遷が比較的著しいRiceだけれど、どの時代の曲でもこうして織り交ぜて演奏できるのはこのバンドの演奏力・表現力あってこそ。力のあるサポートメンバーが支えているから当然といえば当然かもしれないが、肝心要のRiceの二人に音楽的・人間的な力がなければ、百戦錬磨のミュージシャンたちを従えることはできない。
『ラストシーン』の演奏を終え、三たびメンバーが替わる。ふーみんに替わり、アップライトベースを提げて登場したのは高井淳。彼とともに、キーボードのぶんちゃん(畠中文子)もステージイン。そしてなんと、このタイミングで、YUKIも一旦ステージを離れることに。ここから演奏される楽曲について、HIROからこんな説明が……。
「こんな素敵なキャストが揃ってくれたので、なかなかやれないことをやってみようと思い立ちました。インストやります!Ommyはアコギになったし、淳ちゃんもアップライトでちょっと静かな感じかな?って思うかもしれないけど、全然そんなことないから。これからドカドカやるから!」
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そうして始まったのは『泪(なみだ)』。腕の立つプレイヤーを従え、筋の通ったリズムをしっかりと聴かせるHIROのドラミングはさすが。抜群の歌唱力を誇るYUKIの歌を15年支えてきただけあり、ヴォーカルレスでもしっかりと“歌”を感じさせる彼の表現力をあらためて実感する一幕だ。そんなHIROも、インスト演奏のあと一旦ステージを後に。Ommyもステージを去り、入れ替わりに登場したYUKIとぶんちゃん、淳の3人が奏でるのはヘンデル作曲の歌曲『オンブラ・マイ・フ』。Riceの楽曲とは一味違うクラシックなヴォーカルに、オーディエンスがじっと聴き入る場内の雰囲気がとても印象的だ。Raphael時代から歌のうまさに定評のあるYUKIだが、その評価に甘んずることなくいろいろなチャレンジを試みる姿勢あってこそ、研ぎ澄まされた深い歌声が彼の体から響いてくるのだろう。『オンブラ・マイ・フ』が終わり、YUKIと同じ衣装に着替えたHIROが登場、ここで再度、演奏陣の編成が替わる。
「ここでもう一人呼びたいと思います。えいちゃん(永山利彦)、お願いします。えいちゃんはですね、Rice結成当初からレコーディングやらライヴやらで力を貸してくれている大ベテランの先生です」
というYUKIによる紹介を受けたえいちゃんは、ウィーン国立音楽大学を卒業し、チューリッヒ交響楽団や東京フィルハーモニー交響楽団などでの演奏経験を持つチェロ奏者。腕のある演奏家を自分たちの音楽に引き込むのはたやすいことではない。自身の音楽に筋が通っていないと、ひとつのチームとして音をまとめることは困難だからだ。バンドを率いる者には、ある意味、指揮者のような統制力が求められる。15年の長きにわたり、えいちゃんを始めとする熟練した演奏家とタッグを組んでいるRiceの二人には、そうそうたるミュージシャンたちを納得させる力があると断言していいだろう。
ヴォーカル・ドラム・ベース・鍵盤・チェロの編成で演奏されたのは、14年ほど前に作ったという、音源化されていない『よろこび』。続くセクションには、ギター・TEL-SEAが加わる。TEL-SEAはRiceにとって三代目のサポートギタリストで、2007年に展開したワールドツアーに同行した人物。彼とのエピソードをひととおり話したあと演奏されたのは、「懐かしい曲なんですが、今年はRaphaelの活動もあったので。それを経て今、このタイミングでここに駆けつけてくれたみんなに聴いてもらいたい曲のひとつです」との曲紹介を受けた『勿忘草』。さらに、歌い終わった後にも、「この曲を書いた当初は、自分の気持ちをどう伝えていいのかわからなくて。だけど、Raphaelの活動を経た今なら気持ちを伝えられると思って。この曲をもっともっとみんなに好きになってもらいたくて演奏しました」とYUKIは話した。
そう話したYUKIは、Raphaelのステージをともにした華月のギターを手にし、「ギター弾きます。ちゃんと連れてきました」と言って、友への想いをやさしく歌う『Hello』の演奏に入る。このあたりのセクションでは、セットリストにあらかじめ記載されていない場面でもMC(曲紹介)を挟んでいたYUKI。丁寧に曲の紹介を入れるのは、どの時代からRiceを聴き始めた人でも曲を身近に感じられるようにという配慮があるのかもしれない。そんな彼が次に紹介したのは、15曲目の『リルゴ・マキアート』。
「何度も同じことを言うばかりだけど、今みんなが割いてくれている時間は、みんなが生きてる時間の一部だからさ。そう考えるとすごく貴重なんだよね。1秒たりともムダにしたらダメなわけで。貴重な時間をこの場所に、心と体を預けてくれたことに感謝しています。その想いに精一杯応えて歌います」
ゆったりとした、でも、とても強い意志が感じられるメロディーに、誰の人生にも当てはまる死生観を乗せた愛あふれる楽曲。こういったメッセージは、彼らぐらいのまだ若い世代にそう綴れるものではない。喜びも悲しみも、たくさんの感情を受け入れてきたからこそ表現できるものなのだと思う。そんな『リルゴ・マキアート』の演奏後、「まだまだ続くよ、ちょっと待っててね」という言葉を残し、YUKI、HIROを始めとするキャスト全員がステージを去る。その間、『Air』のハウス調アレンジがSEとして流れ、それまでのしっとりした雰囲気ががらりと変わったところで新フォーメーションのメンバーたちがステージに戻ってきた。この編成について、YUKIは、『Fake
Star』を歌い終わったあとに説明を入れた。
「超うれしすぎるので、紹介したいと思います。Riceの初代サポートギタリスト・ポールです! Riceを立ち上げた時、どうしてもギターという楽器に抵抗があったというか……。どうしていこうかとずっと悩んでた時、“天々団”というRaphaelのファンクラブのスタッフだった、ポールになる前の江上さんが、“俺なら舞台の上でバッシングされても平気だし、笑ってもらっても構わない。ギターが入った編成でライヴをやってみてしっくりこなかったら、俺だもん、ポイッてしてもらっていいよ”と笑いながら言ってくれたの。そこですごく勇気をもらえて。ロックが好きだから、やっぱり、ギターって欠かせない楽器じゃない。花形の楽器じゃない。最後の最後で背中を押してくれたのがこの人なんです。やっとこういう形でみんなに紹介できる時がきました」
満面の笑顔でYUKIの横に立つポールをそう紹介したYUKIは、続いて、もう一人のかけがえのない人物の紹介をしつつ、今着用している衣装について触れた。
「ご多忙の中駆けつけてくれました。Tokky!スーパーマルチプレイヤーですが、今回はベースで力を貸してくれます。さっきのセクションもそうだけど、(Raphaelの)衣装を着て来たよ。一度きりじゃもったいないからね。何度も何度もこの衣装をまとって動いているところを見てもらいたいから」
ポール、Tokky、Ommy、ぶんちゃん、貴恵ちゃん(ヴァイオリニスト・寺島貴恵)を擁した6人編成のまま、続いて「胸に零」を演奏し、再びYUKIがこの曲に対する想いを、このあとに演奏する曲に込めた意味を語った。ちょっと長いが、今年の“ありったけ”に込めたRiceの想いが凝縮されたメッセージだったので、全文を紹介する。
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「(「胸に零」の)歌詞の中にも盛り込んでるんだけど、“エバーグリーン”という単語が出てきます。いつか笑って振り返る日がきたらいいなと思っていたら、2016年は現実のものになりましたね。そんなことが起こるとは想いもしないような時期に書いている曲なんだけど、答え合わせというか、点でしかなかった記憶たちがどんどん結ばれていく中、くすぐったいながらもうれしかったり救われる想いがあって。2016年は不思議な体験をしている気がします。衣装はこうして、Raphaelの最後の公演で着たものだけど、これを今日どうしても見てほしかったのは、もうひとつとてもとても大切な意味があって。毎年、“ありったけ”には副題をつけてるんだけど、今年は“~Never
Ending Love story~”。これまで、幾多のRaphaelのステージと、今年は数は少なかったけれどRiceのステージとで同じメッセージを伝えさせてもらっていたけど……ようやくひとつになっていけるというか。今まではどうしても、自分の中で分けないと辛かったんだよね。YUKIでバンド人生が始まったけど、Riceでは、心機一転ということですべてをみんなに見てもらおうという覚悟のもと、櫻井有紀・村田一弘と、本名を公開することにしたりとか。それまでのヴィジュアル系っていう装いから一転してかなりカジュアルな感じになって。それにはどんな意味があったかっていうと、飾らない自分をまず見てもらわないとっていう。それは、カッコイイ部分じゃないんだよね。弱い部分だったりっていう“素”の部分。これを見てもらいたいと思ったから、初期のころはメイクもしなかったり、自分たちが表現したいと思う音楽たちを聴いてほしいと思ってたんだけど……。言葉があまりに足らなすぎて誤解を生んでしまったり、期待に応えることができなかったりと、うまくかみ合わないというかチグハグな時間がずいぶん続いてしまったんだけどね。ここに来てようやく、自分たちが好きだったりしっくりくるものを装ったりまとったりできるようになりました。こういう大切な瞬間に、自分たちが紡ぎ上げてきたRiceの音楽をみんなに聴いてもらえることを、今日はすごく幸せに感じています。Raphaelの今年の活動をキッカケに出会ってくれた人、10何年ぶりに帰って来てくれた人、ずっと長く長く、辛い時も楽しい時もどんな時もそばにいてくれた人が同じ空間にいるのね。誰がえらいとかすばらしいとか、そういうことではなく。新しいものには新しい強さがあるし、培ってきたものにはそれだけの温度というものがあると思うのね。お互いがお互いを尊重しながら新たな未来に向かっていくことが、これからの僕らの目標であり夢。そんな願いを込めて、今年はRiceのワンマンステージでどうしても3曲続けてやっておかねばならない曲があるのね。今まで描いてきた夢の中で一度だけ叶ったのが、10月28日のステージ(Rice主催のイベント“Beat-2016-”でRaphaelとRiceの対バンが実現した)での出来事でした。なかなか頻繁にやることはできないけれど、前にも言ってきたとおり、しかるべきタイミングでは、必ずどんな場所でも僕らはこれらかもRaphaelの音楽を奏でていきたいと思う。あまり時間を空けすぎると無駄にかしこまった空気になりそうな気がするからこそ、“もうやるの?”って思われるかもしれないけど、今日だからこそやっておかないといけないと考えているのね。喜んでくれる人もいれば“違うんじゃない?”と思う人もたくさんいるかもしれない。賛否両論あってしかりなんだよね。それでも僕らは前を見て進んでいかなければいけないから。まずは一度、自分の体に取り込んでみてください。絶対に手は抜かないし、精一杯奏でてみせるから。絶対あなたの心に響かせてみせるから。いくよ。3曲続けていくからね。ただ受け止めるだけじゃなくて、音を楽しむと書いて音楽だから、一緒に音楽してやってください」
『Never-誓いのアスタリスク-』はRice名義で2015年夏にリリースした楽曲。『Ending-華弦の月-』と『Love story-悠久の四重奏はRaphaelの新曲としてRaphael最後のアルバム『Love
story-200002020161101-』に収録した曲だ。『Never』が発表された時は、のちに2曲が続いてひとつの出口にたどり着く楽曲とは思いもしなかったが、今ここで3曲が融合することには大きな意味がある。一度は翼が折れたRaphaelと、手負いの船出をしたRiceが融合することに対しては、YUKIが言うように、一筋縄ではいかない感情が渦巻いていると思う。すべての人にそれを受け入れてくれとは言わないが、この3曲を生で聴いた人に限っては、どこかスッと腑に落ちる感情があったのではないだろうか。少なくとも私は、15年間のRiceの歴史の中で紡がれてきた多くの楽曲とこの3曲を歌うYUKIの姿を見て、Riceの覚悟と決意を感じた。それは、楽曲に力があってのことでもある。また、その楽曲を表現するだけの力がRiceにあってこそでも──。
圧倒的な説得力をもって、本編最後の3曲を演奏しきったYUKIとHIRO、そしてサポートメンバーたち。舞台を降りる前、YUKIは万感の想いを込めてこんなメッセージを放った。
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「ホントにたくさんの想いの中、飲み込んだり堪えたり……いろんなものを抱えながら、それでも今日会いに来てくれたんだと思ってます。言葉にすると稚拙だけれど、本当に感謝しています。ありがとう。新しく出会ってくれた人、ブランクがあっても帰って来てくれた人たち。それこそ言葉では表せないほどの“ありがとう”を。その勇気に、命の時間を賭したその想いに感謝しています。できれば、長く応援してくれている人たちは、今までの歴史をたくさん新しい人たちに伝えてあげてください。新たに出会ってくれた人、帰って来てくれた人たちは、何も気負うことはないから、たくさん聴いてみてください。長く長くいる人たちに新しい文化を運んできてくれたこと、僕はすごく感謝してるのね。一番なくしたい垣根は、これから先のそういったファンどうしの在り方だったりするんだよね。(Riceが)いろんな交流の場になってくれれば、分かりやすく言うとそれが明日のRiceの生きる場所になっていくと思います。なかなか難しいことかもしれないけど、みんなオトナでしょ?素敵なオトナでしょ?そう信じて、自分の音楽人生のこれからすべてを委ねようと思っています。他の誰でもないあなたを信じて、僕はこれからも歌うと思う。僕の想いにこうしてたくさんの人が力を貸してくれて、HIROもいつまでもそばで一緒に音を奏でてくれると思います。忘れないでね、大事なことだからもう一回言うよ。他の誰でもないあなただから信じてるんだからね。あなたと一緒にいないと音楽をやる意味がないんだから。これから先の我々の未来の音楽をもっとたくさん紡いでいきましょう。素晴らしいステージでした。最高のライヴでした。最高のあなたでした」
サポートメンバーに賛辞を送りながら本編の幕を下ろすYUKI。
「とびきり大きい拍手をください。彼はRaphaelが解散して、みんなの前で初めて、YUKITOが弾いていたパートのベースを凛として弾き通してくれました。これほど愛に満ちてこれほど覚悟を背負って舞台に立ってくれる仲間が僕らにはいるんです。あなた方が知っている“team-Rice”には、言ってしまえば“team-R”には、こんなにすばらしい人がいるんです。これからもどんどんこの人を頼っていきたいと思います。みんなもどんどん頼っちゃってください。スーパーマンなんです。世界で一番カッコイイベースをありがとう」
Tokkyの紹介を終え、本編は終了。アンコールの声に導かれ、3時間近い演奏をやりきったメンバーが再びステージに現れた。着用しているのは、新しいバンドロゴを盛り込んだオリジナルTシャツだ。明るい笑顔でYUKIはこう言った。
「15年ずっと使ってきたロゴとさよならするわけじゃないの。どういうことかというと、ロゴが増えました(笑)。これまでの歴史があって今がある。今があるから未来がある」
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今日の3時間以上におよぶステージは、過去を振り返りながら今に立ち返り、未来へとつなぐ時間だったと思う。アンコールでは、一番最初のライヴから演奏し続けている『Re:Bye』と最新シングルのカップリング『クルミ』を続けて演奏し、15年の始まりと今を融合させた。この間に遂げた成長は、『クルミ』の前に起こったTEL-SEAのギタートラブルという突発的なハプニングへの対処でも見てとれた。急にギターの音が出なくなり、普通なら慌てるものだけれど、「最悪、アテぶりっていうテもあるし!」と笑いながら冗談を言い、YUKIは会場の空気を和ませる。そこにOmmyが「いや!この曲は弾いてもらわないと困るから!」とツッコミを入れた場面では、“Team-R”の互いの信頼の強さに他ならないと思った。結局、音を出すアンプをチェンジすることでこのトラブルを乗り切り、いよいよラスト。Ommy、ポール、ふーみんが揃い、『STAY』が始まるその前に……
「ほんと、楽しかったな。すごいでしょ、“team-Rice”自慢の面々。すばらしいキャストでしょ? 彼らは、結成15年から16年に向かっていくRiceの歩みをずっとそばで支えてくれているんです。彼らだけじゃなく、ほかの誰でもないあなたも支えてくれてるんです。それこそたくさんの記念日を我々は持っているわけですから。みんなで時々こうして、1年の節目だったり大切な日に、しかるべきタイミングでいろんな土地でいろんな時間にいろんなライヴをしていきましょう。今日はいろいろ思い切った試みがいくつもあったけれど、どれもみんなが温かく受け入れてくれて、笑顔をたくさん見せてくれて、ライヴの盛り上がりという形で返してくれたので救われる思いです。びっくりするぐらい超満員で、みんな窮屈だったと思いますが、忘れないでほしいのは、誰しもがみんな、Riceの音楽が好きでRiceを愛してくれているから今ここに集まってくれている。だから、隣にいる人も、後ろにいる人も前にいる人も、真っ赤な他人ではないんだよね。自分と同じ音楽を愛している仲間なので、それを忘れないでください。あっという間に過ぎ去ってしまった3時間ですけど、あと1曲だけ聴いてもらって、みんなで一緒に思いっきり暴れてはじけてしめくくりたいと思います。2016年、たくさんの思い出がありました。お疲れさまでした。どうもありがとう」
「ここに在る事がよろこびとなれるのなら ここに在る事がぬくもりとなれるのなら ここに在る事が幸せと言えるのだから」と歌う『STAY』は、初期からファンに愛され続けてきたRiceの代表曲。今ほど、この曲が持つ意味合いがストンと腑に落ちたことはない。
そして、『STAY』が終わり、3時間以上にわたる2016年の“ありったけ”は幕を下す──。
「怒涛の2016年でしたけど、過去は過去でなく、これから我々の歩む道になるわけです。この時間に出会えた我々で、これからもたくさんの音楽を奏でていきましょう。夢より素敵な1年でした」
オールキャストが横並びで手をつなぎ、観客に挨拶したあと、ステージに残ったYUKIとHIROは、フロントの台に乗ってマイクレスで叫んだ。
「ありがとう、みんな!!」
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二人の晴れやかな顔はもちろん、お客さんたちの顔もとても気持ちのよい笑顔ばかり。
“ここに在る事”、その尊さを音楽を通じて教えてくれたYUKIとHIROのこれからがこの曲のメロディーのように明るく軽やかであることを願わずにいられない、そんなエンディングだった。4月15・16日に開催が決まった16周年記念ライヴでは、今日以上の笑顔が見られるに違いない。
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Text:須田真希子 Photography:鈴木久美子、WHOKO |
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2016.12.24 Rice ありったけスーパーライブ2016~Never Ending Love story~ @ 原宿アストロホール
-SET LIST-
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~SE. Neil~
01. 矛と盾
02. Square
03. ラブレインType:7
04. ラブレインType:3
~MC~
05. あすなろ
06. Gleam
07. ラストシーン
~MC~
08. -泪-(インストルメンタル)
09. オンブラ・マイ・フ
~MC~
10. よろこび
~MC~
11. 勿忘草
12. Hello
13. コバルト
14. カサブランカ
15. リルゴ・マキアート |
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~SE. Fake star-piano ver.-~
~SE. Air-House ver.-~
16. 雪の彩
17. Fake Star
18. 胸に零
19. Never-誓いのアスタリスク-
20. Ending-華弦の月-
21. Love story-悠久の四重奏-
~SE. Tera→Fake star-piano ver.-~
<ENCORE>
22. Re:Bye
~MC~
23. クルミ
~MC~
24. STAY
~END SE. Up to tiptoe~ |
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