2017.02.14 Versailles 「Chateau de Versailles」 @ 日本武道館
2017.03.19

Versailles、薔薇の運命を咲かせた日本武道館公演の模様をレポート!!
今年、活動10周年を迎えるVersaillesが、2月14日に武道館を舞台にVersailles「Chateau de Versailles」公演を行った。この日は、欧州公演での確かな手応えを手に臨んだライヴ。しかも入場者には、4年ぶりとなるアルバム『Lineage ~薔薇の末裔~』をプレゼントするという破格の企画も実施。さらにこの日は、総勢70名に及ぶクワイアの参加も事前に告知されていた。


KAMIJOが姿を現すと同時に、会場を彩る声は絶叫に塗り変わった。


巨大なステンドグラスに囲まれたステージ。ここでVersaillesが熱狂を生み出し、訪れた人たちの眠れる理性を解き放ってゆくということだ。

美しくも荘厳に響き渡る合唱。勇壮な交響曲が流れると同時に、舞台上には無数のトーチが掲げられた。真紅に染まるステージ。後方には数多くの演者たちが並んでいる。そして…。
「We Are Versailles」の雄叫びと重厚な調べに乗せ、メンバーが次々と舞台後方から姿を現した。熱を持って上がる声。絶叫を全身に浴びながら、メンバーたちはゆっくりと階段を下りだした。やがてKAMIJOが姿を現すと同時に、声は絶叫へと塗り変わっていった。


理性がどんどん消え去ってゆく。でも、それこそが無上の快楽だ。


次々と吹き上がる無数の炎。荒ぶる演奏に合わせ、炎たちが次々と空へと放たれていく。宴の幕開けを飾ったのは、勇壮で気高き音を轟かせる『Aristcrat's Symphony』だ。雄々しき演奏に合わせ、身体を激しく揺さぶり、熱した想いを舞台上へぶつけてゆく観客たち。Versaillesは日本武道館に訪れた人たちの魂を、真っ赤な血で塗りたくってゆく。どんどん気持ちが昂っていく。戦いへ挑むよう掲げた意志を剥き出しに、誰もが舞台上の5人へ熱狂の交響曲(想い)をぶつけていた。なんて雄々しくも美しい高貴な宴(戦い!?)の幕開けだ。

荘厳な調べが駆けだした。メンバーの勢いに合わせ天高く吹き上がる無数の炎。それ以上に、昂る気持ちがどんどん天井知らずで突き上がってゆく。激しく美しく、何より気高い調べを持ってVersaillesは『Ascendead Master』を突き付けた。「革命は美しく」…そう、何時の時代にも何かを新たに塗り変えるときには、大きな衝動と、何よりも美しき魂の声が人の心を熱く揺さぶっていく。まさに、この日の宴のように。大きなうなりを持って進んでゆく演奏。激しい音の流れへ身を預けているだけで、理性がどんどん消え去ってゆく。それこそが無上の快楽だ。


激しさの中へ嘆く表情を重ねたのは、KAMIJO自身の心の嗚咽を投影したから!?


王宮を舞台にした今宵の舞台は、早くも熱を帯びだした。
「Welcome To Versailles、今宵は日本武道館が我々の城だ!!」

「絡みついた薔薇の刺が~」、痛々しくも心地好い刺激を与えるように重厚でロマネスクな『Shout & Bites』が、豪圧な調べを身体中へグサグサと突き刺してきた。なんて重く鋭い音なんだ。その激しさは麗しき香りをまとっている。感情は興奮を求め騒ぎ続けてゆくが、その歌に心がとろけてゆくのも、隠れた媚薬のような甘さに心が痺れていたからか…。どんどん荒ぶる演奏。その激しい咆哮が次に指し示したのは…。

「日本武道館での舞踏会が始まったぞ。さぁ両手を上げて、おたわむれの時間だ」

『zombie』に合わせ打ち鳴らされた手拍子。何時しかその音は、轟く演奏に刺激され雄叫びと突き上がる拳に変わっていた。地の底を這うような、大地を震わすに相応しい衝撃的な音が全身を幾度も貫いてゆく。叫ばずにいれない。いや、叫ばさせてくれ。そうしないと沸騰した意識を解き放てない。触れた人たちを野生に戻してゆく『zombie』、その音は嬉しい衝撃だ。


それを誰もが求めていたように、美しく気高くも荒々しい抱擁に嬉しく身悶えていた。


「無償の愛は、己の」…。悲哀を携えた想いが零れだした。身体へズシッと響く濃密な音の上でKAMIJOは嘆くように、今にも心壊れそうな自分を認めながら、天へ向かって『Inhertance』を響かせていた。なんて心に幾つもの滴をもたらす歌と演奏だ。激しさの中へ嘆く表情を重ねたのは、KAMIJO自身の心の嗚咽を投影したから?!。その痛い想いを受け止めきれず、心が張り裂けそうになっていた。

「I Want Suck your Blood」。吸血鬼の化身と成ったKAMIJOが求めてきた、熱い抱擁。その身をギュっと抱きしめようと、熱く熱く誘いをかけるKAMIJOとメンバーたち。『Vampire』に噛みつかれた瞬間、激烈な求愛に身体は火照った昂りを覚えていた。それを誰もが求めていたように、美しく気高くも荒々しい抱擁に嬉しく身悶えていた。

昂る高揚が身体中を駆け巡るように、美しくも勇壮な『Chandelier』が全身へ興奮を一気に注ぎ込んでいった。ただただ胸が熱く鳴り続けてゆく。理屈や理性などで語るものではない。これは本能だ。気持ちが勇ましく昂ったときに生み出される野生の本性だ!!。その気持ちへ導いてくれたことが本当に嬉しかった。


「愛する人、もしもあなたに出会うことがなければ」この嬉しい歓喜の想いも感じれることはなかった。これも嬉しい運命と受け止めようか。


「君たちは僕たちを照らしてくれているシャンデリアです、ありがとう」、KAMIJOがそう告げた。
「久しぶりの海外ツアーへ行ってまいりました。みんなの仲間が数多く待ってました。そんな中、ポーランドでKAMIJO、ステージから落ちました。足を怪我して松葉杖と車椅子の日々でした。バルセロナでもパリでも椅子に座って歌うことで大切なことに気付かされました。ステージから落ちて本当に大切なものを知りました。それはね、バリアフリー」。まさか、その言葉が出るとは。でも、確かに大切なこと。「このツアー中、メンバーに支えられてステージに立ちました。この日、このステージを迎えるまでの試練も「運命だったのかな?!」と思っています。みんなが何よりもの支えです。共に歩んでまいりましょう」

頭上高く掲げられた無数の薔薇の光。優しい光を帯びた美しい音色と歌声が導いたのは、ミッドメロウな『DESTINY-THE LOVERS-』。気持ちへ優しく寄り添いながら、次第に愛しき熱を高めるように、Versaillesは胸を打つ調べで心を包んでくれた。楽曲が進むにつれ、演奏は次第に激しさと躍動を増してゆく。その潤しい音色と過激さを染み込ませた演奏が、何時しか心を微笑みと一緒に踊らせていた。「愛する人、もしもあなたに出会うことがなければ」、この嬉しい歓喜の想いも感じれることはなかった。これも嬉しい運命と受け止めようか。

晴れた気持ちの昂りを抱きながら、身体中を眩い光の刃で突き刺すように『After Cloudia』が解き放たれた。どんどん歓喜を携え上がってゆく演奏。KAMIJOは、想いを告げるように歌いかけてゆく。心に光を射す歌と演奏に包まれていることがとても嬉しかった。嬉しい歓喜な想いが次々と込み上がり続けていた。

「ちょっとだけ何時もよりテンポを上げて、次の曲、飛ばしていこうかー!!」。勇壮で雄々しき高揚を与える『Philia』の登場だ。何時も以上に速度が上がったことで、昂る気持ちにも何時も以上に高い熱を覚えていた。朗々と歌うKAMIJOを支えるリズム隊の過激さと切り刻むギターのリフビートのなんて激烈だったことか。こんな勇壮なドラマなら、もっともっとテンポを上げてもらって構わない。


その歌声と調べは濡れた心に優しく光を降り注ぎ、小さな輝きを僕らに見せてくれた。


「僕たちにはどうしても日本武道館のステージに立たなければいけない理由がありました。亡くなってしまったメンバーJasmine You。彼と亡くなる前一緒に、いつか必ず日本武道館に立つ夢を叶えようと約束をしていました。このステージに立った今、この曲をJasmine Youに捧げます」

切なく麗しき弦楽とピアノの調べに乗せ、KAMIJOは込み上げる想いをゆっくり吐き出すように美しく麗々としたバラードの『Serenade』を歌いかけてきた。「大きな壁を二人で越えてきたね」「今すぐあなたに逢いたい」。その言葉と想いは、遥か空の彼方まで届いていただろうか。果ての世界でJasmine Youは、この歌を優しく微笑みながら口づさんでいた。そんな風に僕らは想いながら、心で祈りを捧げていた。その歌声と調べは濡れた心に優しく光を降り注ぎ、小さな輝きを僕らに見せてくれた。


なんてスケールのあふれる情感を描いたドラマ曲だろう。その音絵巻にだれもが心を奪われていた。


キラキラと輝きを放ちだした音の調べ。YUKIのドラムが轟くのを合図に、ふたたび舞台上に無数の松明が灯された。荒ぶる重厚な調べを響かせ突き進む演奏。揺れる感情を投影するように激しさと穏やかさを交錯させながら演奏は進んでいく。その演奏は、最後の舞踏(武闘)会へと観客たちを導いていった。
昂る準備は出来ているか!?と言わんばかりに。演奏は、刹那と情熱を重ね合わせた心むせび泣く『Faith & Dicision』へ。ジワジワと身体中に染み渡る歌と演奏が気持ちをゆったり、でも大きく揺さぶっていく。それが、とても愛おしかった。後半で暴れ出した演奏と沸き上がる無数の炎が、魂を嬉しく歓喜させていった。なんてスケールのあふれる情感を描いたドラマ曲だろう。その音絵巻にだれもが心を奪われていた。

「その想いの一つ一つを腕に込めて掲げてくれ。これが魂たちの舞踏会だ」。最後に場内を覆い尽くしたのは、荘厳で激しく、何よりVersaillesらしさを投影した黒い交響曲の『MASQUERADE』だ。今宵の宴へ 参加したすべての人たちの魂へ荒ぶる歓喜と興奮の血を注ぐように、Versaillesは滾る感情を全身に巡らせていった。何時しか誰もが想いを無心に、舞台上のメンバーらへその身を捧げていた。この宴の終わりと共に、みずからも恍惚に召されようと言わんばかりの勢いを持って、「Like a Masquerede」の声が場内に響き続けていた。


その場が日本武道館だろうがライヴハウスだろうと、感情を興奮へ導く姿勢に何も変わりはない。


アンコールは、最新ナンバー『Lineage』からスタート。豪圧な音が漆黒と真紅の交じりあった交響曲としてこの身へ襲いかかってきた。たおやかな歌の中から顔を覗かせる野生を抱いた楽曲。その重厚な調べはどんどん広がり、何時しか観客たちの身体を高揚した熱で包み込んでいた。Versaillesが新たに描き出した勇壮でシンフォニックハードな楽曲は、これからの彼らのライヴでも宴を歓喜で彩る大切なパズルの欠片(ピース)になるのは間違いない。

「ラスト行くぜー!!とことん暴れて悔いを残すなよ、いいかー!!。ここをライヴハウスだと思ってグシャグシャにいけよー!!」。Versaillesのライヴをつねに熱狂と絶叫で彩り続けてきた、荒ぶる歓喜の歌『The Red Carpet Day』が轟きだした。誰もが右手を振り上げ、ときに大きく手拍子を鳴らし、胸の昂りを舞台上へぶつけていた。熱狂を交わし合うように場内へこだまする絶叫。誰もが大声を張り上げ、KAMIJOの煽りへ挑みかかっていた。なんて勇ましくも熱狂渦巻くカオスな風景だ。その場が日本武道館だろうがライヴハウスだろうと、感情を興奮へ導く姿勢に何も変わりはない。だからこそ観客たちも、同じよう理性を壊してはしゃいでいたのは間違いない。


このまま見させて夢の続きを…。



止まないアンコールの声へ導かれ、ふたたびメンバーは舞台上へ。
「2017年、Versaillesが始動してから今年で10年。この場所に立てているのはみなさんのおかげです。この日本武道館へ向かう道のりの中で、バンドとしては今が一番いい状態だと言い切れます。これからの10年20年30年、いえ、永遠にみんなとこの夢を見続けられたら音楽家としてこのうえない幸せです。どうぞ永遠によろしくお願いいたします。永遠の夢を信じてこの曲を贈ります」

誰もが手にした光る薔薇を頭上高く掲げだした。
「ありがとう、この景色が観たかった」。『Sympathia』の演奏が始まると同時に、場内中に揺れだした無数の薔薇の花たち。「このまま見させて夢の続きを」。彼ら自身の想いを投影したバラードの『Sympathia』に触れながら、込み上がる熱い滴を誤魔化すことは出来なかった。何度も何度も薔薇を突き上げ歌うKAMIJO。その調べに抱かれながら、何時までもこの夢を見続けていたい。それくらい愛おしい想いを誰もが感じ続けていた。「このまま見させて、あの夢の続きを 消せない傷跡を すべてをかき消して」。場内中に響いたKAMIJOと観客たちによる歌の掛け合い。その美しい歌声が、胸にずっとずっとこびりついていた。それを、ずっとずっと消したくはなかった。

「Versailles初めての日本武道館,、みんな集まってくれ本当にありがとう。夢を叶えられたことを一生忘れません。最後にもう一つ結成当初からの夢だった荘厳なるクワイアと共に、この曲を」

最後の最後を飾ったのは、総勢70名のクワイアー(合唱団)を従え演奏した『The Revenant Choir』。シンフォニックメタル/刹那メロウなスタイルを標榜するVersaillesらしさを濃縮した楽曲が唸りを上げて場内を駆け巡ってゆく。魂を掻きむしるように刺激を与える演奏。舞台後方に陣取ったクアイアーたちが美しくも壮麗な合唱をKAMIJOの歌に重ね合わせてゆく。言葉にしがたいほどのオーケストラな演奏が、舞台上から歓喜と興奮と高揚と感動を降り注いでいた。身体中を巡る赤い血にフツフツとした熱を覚えずにいれなかった。たぎるこの赤い血、そして思いきり咲かせた手を薔薇の花に変え、彼らへ捧げずにいれなかった。
素敵な、夢のような一夜をありがとう。いや、これは記憶で見る夢なんかじゃない。身体中を巡る赤い血潮が記憶しているように、これは肌と感覚でリアルに感じ続けた目に見える夢の風景だ。

「10年目にして日本武道館に立たせていただけたことを本当に感謝しています。今日こうして笑っていられる、それがこれからのVersaillesの未来です。輝く未来へ向かって…We Are Versailles!!」


今後のVersailles


今後のVersaillesだが、10周年を記念したワンマンライヴを、6月23日に豊洲PITで行う。秋からは全国ツアーをスタート。12月17日にZepp Tokyoを舞台にしたグランドフィナーレライヴまで、一連の流れは続いてゆく。その動きを、ぜひ追いかけ続けてもらえたら幸いだ。

Text : 長澤智典 Photography:KEIKO TANABE  


2017.02.14 Versailles 「Chateau de Versailles」 @ 日本武道館
-SET LIST-

01. Aristcrat's Symphony
02. Ascendead Master
03. Shout & Bites
04. zombie
05. Inhertance
06. Vampire
07. Chandelier
08. DESTINY -THE LOVERS-
09. After Cloudia
10. Philia
11. Serenade
12. Faith & Dicision
13. MASQUERADE
<ENCORE>
01. Lineage
02. The Red Carpet Day
03. Sympathia
04. The Revenant Choir

>>Versailles Official Site  


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