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2024.03.07&08 D 無期限活動休止前 Last Tour 2023~2024「血界」 D 20th Anniversary
Year Grand Final @ 豊洲PIT |
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2024.06.03 |
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無期限活動休止――昨年5月にアナウンスされたDからの発表に言葉を失った。形あるものはいつかなくなる。もちろん、自然界におけるその法則は自覚してはいるものの、予期せぬ自体に直面しないと直接的に意識することは少ない。今回もまさにそんな事象に該当する一件だった。Dの音楽において軸となってきたのはオリジナルのヴァンパイア・ストーリーであり、ある種、彼ら自身も不老不死であるような感覚は、メンバーにもファンにもあったかもしれない。 |
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ただ、現実は残酷だった。当時、リーダーのASAGIはブログに以下にような文言で思いを綴っている。
「どんな形であれ、Dを滅ぼしたくなかった。『解散』を選べば、Dが築き上げてきた歴史も想い出も記憶さえも、全てが砕け散り、この世界から消えてしまうように思えたからです。だからかろうじて『活動休止』という形を選ぶことで、Dを遺すことを選びました」
導き出された決断には、いかに苦悩が伴っていたのかのを窺わせる言葉だ。メンバー間で音楽的な方向性にズレが出てきたわけでもない。創作面で行き詰まりを感じていたわけでもない。ここに至る背景を説明するのは一筋縄ではいかないが、本心として活動を継続したい意思があったのは確かだろう。ところが、取り巻く状況によって、活動に終止符を打つことを余儀なくされた。そう解釈するしかない。結成から20年という歴史があればこそ、たとえば、個々のライフステージなども大きく変化してくる。換言すれば、ここまで長きに亘ってDが最前線で活躍していたこと自体が奇跡だったということだ。
彼らと初めてインタビューの場で相対したのは、2007年の春頃のこと。ちょうど「桜花咲きそめにけり」をリリースするタイミングだった。場所は東京の荻窪にある、雰囲気のある喫茶店だったような記憶があるが、そのときの5人の印象はよく覚えている。会話を繰り返す中で強く感じたのは、音楽に対する真摯な姿勢だった。当たり前のように専門用語も様々に用いながら、彼らは意気揚々と新たな楽曲について語った。当然、聞き手としてはテクニカルな話題に一定の理解力が求められる。それまで直接の接点はなかったDの取材を依頼された理由もそこだったのだろう。
以降、コンスタントにDとは向き合ってきたが、始動から約4年を迎えていた彼らは、その時点で東京では渋谷公会堂でライヴを行うなど、確固たる支持を獲得していたバンドだった。ただ、冷静に考えると、 相応のキャリアを持つミュージシャンによる新バンドは、初期の話題性はあるにせよ、その後は思うような実績が伴っていかないケースのほうが圧倒的に多い。
しかし、Dは違った。理由はいくつかあるだろうが、何よりも高い音楽性が基盤となっていたのは大きい。それはコンセプターであるASAGIの創造性に由来するものでありながら、応えられるミュージシャンシップを持ったメンバーが揃っていたからこそ実現するものでもあった。Ruiza、HIROKI、HIDE-ZOU、Tsunehitoには、個性は押し出しつつ、Dの音楽に求められるものは何なのかを的確に把握し、高度な演奏力を磨き上げる鍛錬も怠らない、常にそんなプロ意識があった。 最終公演となる東京・豊洲PIT公演の初日。現地に到着してすぐに顔を合わせたのは、長らくDのサウンド・プロデュースを務めてきた岡野ハジメ氏だった。彼も2日間とも足を運ぶ予定であることを話してくれたが、それが何を意味するのかと言えば、DEAD ENDやL’Arc~en~Cielを始め、錚々たるバンドを手掛けてきた彼にとっても、Dの存在は掛け替えのないものだったということだろう。最後を見届ける、そんな親心のような気持ちもあったかもしれない。
ライヴは「In the name of justice」で幕を開けた。ヴァンパイアの王、ドライツェンの息子であるジャスティスの名前も隠喩として見えてくる、正義の名の下にを意味する曲名。歌詞には“魂は奮え 時は満ち還るべき故郷へ”、“終わりのないように思える万事もやがて終焉に向かう”、“最後の夜 思い思いの夢を語り聞かせてくれ”といった一節が出てくる。楽曲が生まれたときには想定していなかったはずだが、現在の心境とも重ね合わせて解釈できるこの曲がオープニングに選ばれたのは頷ける。
均整の取れたフォーメーション。様式美と言い換えてもいいだろう。Dはステージにおける見せ方も一貫していた。ただ楽しくその場の雰囲気で盛り上がればいいというのも一つの考え方だが、彼らは偶発的なポジショニングも含めて、自身の世界観を立体化して伝えるために必要なあり方にも徹底的にこだわってきたバンドだった。それは幾度も繰り返されてきたライヴにおいて培われてきたものであり、簡単に真似できるものではない。楽曲が進んでいく中で、その熟練たる美学の価値を改めて実感した。
馴染み深い多彩なマテリアルが繰り出されるやいなや、即座に体が反応したオーディエンスも少なくないだろう。ただ、<LAST TOUR>と銘打つのであれば、オール・タイム・ベストのようなセットリストが組まれても不思議ではない。しかし、彼らはツアーが始まるタイミングで新たなアルバム『血界』をリリース。今回の各地の転戦が思い出を共有するだけのものではなく、今もDがバンドとして生き続けていることを具体的な形として示す意図があったのは想像に難くない。
無論、ヴァンパイア・ストーリーに一旦の区切りをつけなければならないという使命感もASAGIにはあっただろう。外伝的なものも合わせて、各楽曲には数多くの伏線が隠されていた。こちら側が予想できないほどの広がりを持つ物語だったゆえ、このタイミングでそれらをすべて回収できたはずはないが、新曲は2日間に亘ってすべて披露。これまでと同様に、綴られた言葉の深層まで辿り着くまではまだしばらく時間がかかるだろうが、実演を体感することがその解釈に少なからず影響を及ぼすのも確かだ。その意味でも、聴き手は得難い時間を過ごすことにもなった。
豊洲PITの2公演は、もう二度とないかもしれないステージをこの目に焼き付けるつもりで臨んだが、同時に忘れ得ぬ瞬間を記録するため、思いつくままにノートにメモを綴っていた。ほとんどが走り書きのような粗雑さとはいえ、見返してみると、A4で10枚ほどになる分量になっていた。文字数で言えば、優に1万字は超えているはずである。それは自分でも驚いたほどで、経験上、ここまで書き連ねたことはほとんどない。各演目の様子を描写するだけでなく、それだけ瞬間瞬間に思い浮かぶ事柄があったということだ。 これまで観たDのライヴの中で最上の部類にあるものだったのは間違いない。誤解を恐れずに言えば、5人の内面を推し量るに、いかに演奏の精度を上げるかといった集中力よりも、純粋に最後のステージに賭ける思いが勝っていたのだろう。そんな気持ちの向け方は必要がないほど、事前の弛みない努力があったのも事実だが、メンバー自身も気づいていなかったかもしれない本来的なポテンシャルが具現化されていった。
特に5編からなる「組曲『狂王』」は圧巻だった。『血界』に改めて収録されたことで、Dがどれほど強い思い入れを持っていたのかを認識したが、奇しくもこの大作が2018年に初めて演奏されたのがこの会場だったことも、感動の度合いに拍車をかけた面はある。ミュージカル仕立てではないものの、一つの音楽劇として評価されてしかるべきパフォーマンスだった。
2日目のアンコールの際のMCでは、涙をこらえながら話すメンバーもいた。そこに集ったファンの表情を目にして、これまでの歩みが思い起こされる中でこみ上げるものがあったのだろう。ただ、逆説的には、そんな気持ちの弛緩が突如として表れたほど、本編は極限状態の緊張感で臨んでいたのではないかとも感じた。実際はどうであれ、“最後”という意識はできるだけ抱かず、できるだけ普段通りであることを心掛けていた人もいたかもしれない。特別でありながら、特別ではない。妙な言い回しだが、Dが永劫に実存していくための壮絶なメンタリティがそれぞれに求められていたことも推察できる。
最後に演奏されたのは「EDEN」だった。2003年に発表された初音源『NEW BLOOD』に収録されていた彼らのアンセムの一つである。観客もめいめいの心の内側にある感情を伴わせながら、最上の声を響かせた。ある種の理想郷を描いたこの歌が、メンバーの思いを体現した永遠を改めて宣言しつつ、20年超の歴史を封じ込めることになったのである。
“最大領域”たる節目の日に立ち会ってから2ヶ月以上が経った今、頭では理解しているものの、彼らが活動を止めたという現実味は微塵も感じていない。あのライヴ自体が、主人公の誰かの夢想世界を描いたコンテンツだったのではないか、そう思いたい気持ちもあるのだろう。Dのファンである薔薇の申し子たちと共に「荒波だらけ」(ASAGI)だった航路を航海してきた船は、休息のために母港に戻ることにはなったが、これは広がり続けていった膨大なストーリーの奥深さをつぶさに研究するための時間的余裕を与えられたものと受け止めたい。足跡を振り返る中で、見えてくる景色は十人十色だろう。そこから始まる物語もある。
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TEXT:土屋京輔 PHOTO:TAKUYA ORITA |
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2024.03.07&08 D 無期限活動休止前 Last Tour 2023~2024「血界」 D 20th Anniversary
Year Grand Final @ 豊洲PIT
-SET LIST-
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【2024.03.07 ~Justice&四騎士~】
-SE-
01. In the name of justice
02. Revive ~荒廃都市~
03. Deadly sin
04. UNCROWNED KING
05. 薔薇の聖戦
06. 弾丸
07. Kudlak ~死の巨星~
08. 花惑
09. メテオ 〜夢寐の刻〜
10. Sleeper
~ Dr.solo ~ (アネクメネ)
11. 天球Syzygy
12. Quartet ~真夜中の四重奏~
13. 紅沙 ~マカイロドゥスの涙~
14. 赤い惑星の天秤
15. 千年樹の希い
16. 流線上のアクア
17. Elfhame ~[R]osalie’s End~
18. Arca ~[J]ustice End~
19. Canis lupus
20. 鬨の声
21. 血界 NEW WORLD ~Justice ver.~
22. Nirgends ~[F]inal End~
-END SE-
<ENCORE 1>
01. Pride
02. Dearest you
03. Guardian
-END SE-
<ENCORE 2>
01. 嘆きの天使
02. 夜の眼と吟遊詩人
03. Day by Day
-END SE-
<ENCORE 3>
01.Rosarium
02. Wonderland savior |
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【2024.03.08 ~Dreizehn&四騎士~】
-SE-
01. Schwarzschild
02. 太陽を葬る日
03. Vampire Missa
04. Der Konig der Dunkelheit
05. 薔薇の聖戦
06. Face
07. Kudlak ~死の巨星~
08. Blood Moon
09. 組曲「狂王」第一番 灯火の雄馬
10. 組曲「狂王」第二番 死の影を運ぶ鳥
11. 組曲「狂王」第三番 美醜なる不死の獣
12. 組曲「狂王」第四番 黒羊は忠誠の夢を見る
13. 組曲「狂王」第五番 落陽に哭く蝙蝠
~ Dr.solo ~ (ザハブを継ぐ者)
14. 天象Parade
15. Noblesse oblige
16. 紅沙 ~マカイロドゥスの涙~
17. 赤い惑星の天秤
18. 千年樹の希い
19. 流線上のアクア
20. Elfhame ~[R]osalie’s End~
21. 終末と逆行のコナトゥス ~[D]reizehn End~
22. 黒薔薇の騎士
23. 血界 NEW WORLD Dreizehn ver.
24. Nirgends ~[F]inal End~
-END SE-
<ENCORE 1>
01. Night-ship”D”
02. 闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア
03. 7th Rose
-END SE-
<ENCORE 2>
01. Alice
02. 闇の国のアリス
03. 真昼の声
<ENCORE 3>
01. Lost breath
02. EDEN
-END SE- |
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2024.06.12 Release |
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Blu-ray 『2024.3.7、3.8「血界」Grand Final 豊洲PIT 2Days』 |
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GOD CHILD RECORDS/GCR-249/2 DISCS/¥15,400(税込)
Blu-ray DISC1:『2024.3.7「血界」Grand Final 豊洲PIT 2Days ~Justice&四騎士~』
Blu-ray DISC2:『2024.3.8「血界」Grand Final 豊洲PIT 2Days ~Dreizehn&四騎士~』
※両日共、アンコール含む全曲収録 |
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DVD TYPE-J『2024.3.7「血界」Grand Final 豊洲PIT 2Days ~Justice&四騎士~』 |
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GOD CHILD RECORDS/GCR-250/2 DISCS/¥7,700(税込)
※アンコール含む全曲収録 |
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DVD TYPE-D 『2024.3.8「血界」Grand Final 豊洲PIT 2Days ~Dreizehn&四騎士~』 |
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GOD CHILD RECORDS/GCR-251/2 DISCS/¥7,700(税込)
※アンコール含む全曲収録 |
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■通販 >>Rosen Kranz -Shop-
※通販:2024.05.30Release
※オフィシャル通販限定特典
・Blu-ray 購入者対象特典:Blu-ray 限定スリーブケース
・DVD W同時購入特典:DVDを2枚収納できる限定スリーブケース
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※詳細、最新情報についてはD OFFICIAL WEB SITEをご確認下さい。 |
◆GCR Presents 2Days Live
Day1:HIROKI BIRTHDAY LIVE「漢気(おとこぎ)祭り 2024」
7月27日(土) 高田馬場CLUB PHASE
OPEN 17:30/START 18:00
先行物販/15:30~(17:00終了予定)
・出演
Vo.ASAGI(D)
Gu.HIRO(La'cryma Christi)
Gu.TERU(Versailles / Jupiter)
Ba.亜季(Sadie / ナナ / BLUEVINE / AXESSORY)
Dr.HIROKI(D)
Day2:浅葱 単独公演「アマビヱ」
7月28日(日) 高田馬場CLUB PHASE
OPEN 17:00/START 17:30
先行物販/15:00~(16:30終了予定)
・出演
Vo.浅葱
< Support Musicians >
Gu.HIRO(La'cryma Christi)
Gu.TERU(Versailles / Jupiter)
Ba.亜季(Sadie / ナナ / BLUEVINE / AXESSORY)
Dr.HIROKI(D)
※両日共、ASAGI、HIROKI終演後特典会有り。
主催:GOD CHILD RECORDS
【2Days LIVE チケット各種】
▼ D FC先行Aチケット:¥7,700(税込・D代別)※お一人様3枚まで
◎受付URL:https://pia.jp/v/d24-7mfc/
◎受付期間:2024年6月1日(土)12:00~2024年6月9日(日)23:59
※クレカ決済:2024年5月27日時点で D Official Fan Club 「 Ultimate lover 」に入会されている方対象(当日申込有効)
※郵便振替:2024年5月20日時点で D Official Fan Club 「 Ultimate lover 」に入会されている方対象(当日申込有効)
D FC会員新規受付中!
・FCご入会受付URL(Rosen Kranz-Shop-)
https://rosenkranz.shop-pro.jp/?pid=144018545
◎発券開始日:2024/07/06(土)10:00~
◎決済方法:クレジットカード、セブン-イレブン、ファミリーマート
◎引取方法:セブン-イレブン、ファミリーマート
◎枚数制限:お一人様3枚まで
▼ 一般Bチケット:¥7,700(税込・D代別)※お一人様4枚まで
一般チケット発売:2024/07/06(土)10:00~
◎受付URL:https://w.pia.jp/t/2dayslive/
・オールスタンディング
・声出しOK、マスク自由
・入場順:D FC先行Aチケット→一般Bチケット
※未就学児(6歳未満)入場不可。
※小学生以上の方は1名様につき1枚のチケットが必要となります。
◆浅葱 東名阪単独公演 2024 8/10(土) 大阪MUSE
OPEN 17:30/START 18:00
8/24(土) 名古屋ell.FITS ALL
OPEN 17:30/START 18:00
8/29(木) 渋谷O-EAST(浅葱 生誕祭)
OPEN 18:00/START 18:30
・出演
Vo.浅葱
< Support Musicians >
Gu.HIRO(La'cryma Christi)
Gu.TERU(Versailles / Jupiter)
Ba.燿(摩天楼オペラ)
Dr.HIROKI(D)
※詳細近日発表
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